十二年前の殺人と百三十三万円が盗まれた事件
入間みちお(竹野内豊)が、弁護士として最後に担当したのは殺人事件だ。
それは十二年前に起きた。
被害者は東前電機の経営戦略部長・布施元治(中野剛)。
被告人は、東前電機の研究員だった仁科壮介(窪塚俊介)。
仁科は、命じられた異動に納得できず、上司である布施と何度もトラブルを起こした。
そして布施は殺害された。
工具を使って殴り殺したとして仁科が捕まり、裁判で無期懲役。
しかし、無実を訴え、仁科は牢獄で首をつって自殺した。
公判当時、みちおは犯行現場から立ち去った人物がいたと主張。
その可能性が高い人物の証人尋問を何度も要請したが、却下された。
真犯人である可能性が高いにもかかわらずだ。
その人物が、今回の事件の被害者・オメガ会計事務所の所長・志摩総一郎(羽場裕一)。
加害者となる被告人は、岸田茂(バカリズム)。
岸田は志摩宅に侵入し、金庫から現金百十三万円を盗んだ。
犯行後、自転車も盗み逃走。
そのさい、新聞配達員の自転車と接触し、横転した。
相手に顔を見られたが、岸田は構わず逃走。
しかし、指名手配され、一週間後に自首した。
自首した被告人に、みちおは疑問が残った。
岸田は前科六犯の窃盗犯。
自首したのは今回がはじめてで、いつも、入念な犯行計画を立てる。
そんな被告人・岸田にしては、今回の犯行は逃走計画がおそまつだった。
防犯カメラの映像を確認しようとすると、イチケイメンバーよりも先に、閲覧申請をしていた人物がいた。
新聞記者の真鍋伸(坂口和也)だ。
しかも、真鍋は数日前に何者かに突き飛ばされ、大けがを負い、現在は脳死状態だという。
なぜ、新聞記者の真鍋が岸田の窃盗事件を追いかけているのか。
そのあと真鍋はどうして襲われたのか。
十二年前の事件と今回の窃盗事件の背後には、もしかしたら、共通する何かがあるのかもしれない。
みちおが職権を発動し、裁判所主導による捜査がはじまる。
二十キロの何かが盗まれ、被害届が出ていない?
イチケイメンバーによる現場検証の結果、志摩宅から岸田が盗んだバッグの中身は約二十キロだとわかった。
現金だとするなら二億円相当。
いずれにしても、百十三万円とは思えない。
被告人の岸田を問いただすと、木彫りの熊だという。
高級品だと思い盗んだ、そう喋った。
しかし、鑑定で模造品だとわかり破棄したと、証言台で岸田は付け加えた。
被害者である志摩もそれを認めた。
イチケイの捜査は壁にぶつかった。
明らかになったこともあった。
検察のナンバースリーが圧力をかけて、岸田の窃盗事件を急いで送検したこと。
この事件を追いかけていた新聞記者の真鍋は、もともと、国税庁の天下りを調べていたこと。
天下りのコーディネーターをしていたのが、窃盗事件の被害者・志摩であったこと。
事件解決の糸口と思われるのは、新聞記者の真鍋だった。
突き飛ばされ、脳死状態からの回復が待たれたが、その願いは叶わず。
真鍋は亡くなってしまう。
みちおは、真鍋の足取りを追いかけた。
たどり着いたのは真鍋の故郷。
釣りが好きだった真鍋は船を持っていて、港に停めた船内から真鍋の手帳をみちおたちは見つけた。
なかには、窃盗事件の被害者・志摩の会計事務所が隠し持つ、裏帳簿のデータがあった。
まぎれもない、脱税の証拠。
このデータは、単なる脱税の証拠ではなく、国税庁が黙認した脱税である可能性を疑わせた。
岸田が志摩宅から盗んだ金が百三十万円ではなく二億円だったことを告白。
つまり、志摩の金庫にあったその金、脱税黙認の見返りとして企業から受け取っていた金銭である可能性が高い。
窃盗事件の真相が暴かれた。
そして、十二年前の事件が再び動き出そうとしている。
みちおが弁護士としてかかわった最後の事件だ。
志摩の脱税を暴く。十二年前の事件との関連はいかに
十二年前の事件。
弁護士だったみちおは、布施元治が殺された現場から、立ち去った真犯人のしっぽをつかんだ。
それが志摩だった。
志摩を法廷で尋問することで、仁科の無罪を立証しようとした。
だが、志摩の証人尋問は認められなかった。
現場検証をしようと試みたが、それも断られた。
却下し続けたのは、公判で裁判長を務めていた当時の日高亜紀(草刈民代)。
それに絶望をしたのか、無期懲役を言い渡された仁科は獄中で首をつって自殺した。
なぜ、日高は証人尋問を却下したのか。
現場検証はどうして認められなかったのか。
この謎が明かされるかもしれない。
岸田の窃盗事件を追いかけ、命を落とすことになった新聞記者の真鍋が持っていた裏帳簿のデータにより、東丸電機の脱税が明らかになったからだ。
志摩は法人税法違反で採捕された。
そのデータから、十二年前の事件の被害者・布施元治と志摩の接点も見つかるかもしれない。
そのことをみちおが日高に告げる。
「これで、当時わからなかったことが見えてきましたよ」
しかし、日高は、志摩が真犯人であるとは限らないと、十二年前の自分の判決の正しさを主張した。
みちおは日高に詰め寄る。
「裁判官は社会の医者だから、裁判官を志したと、十二年前のあなたは僕にそう言いましたよ。そんなあなたが“憧れ”だと言う坂間千鶴(黒木華)は、無実を訴え、自ら命を絶った仁科壮介さんの遺族に会いに行きました」
十二年前の真相を暴くことができるかもしれない。
そのために、千鶴は遺族に会いに行った。
会って、真相解明のための再審請求を促した。
第七話で、十二年前の因縁が再び!?
みちおが裁判官を志したきっかけとなる、十二年前の殺人事件の真実が明かされるか。
第七話では第四話にも登場した、みちおの弁護士時代の仲間役の弁護士で板谷由夏が出演予定。
いよいよドラマも大詰めか。
ドラマ「イチケイのカラス」第6話 目次
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